高野寛がポップス職人として最も脂が乗っていたのが、この時期の作品ではないかと思うのです。
売れ線を意識したメロディを持つ楽曲から始まり、楽器の使い方に凝った録音を施した楽曲まで、幅広く、高野寛が考える所のポップスのエッセンスを惜しげもなく放出した、非常に熱量の高い作品ではないかと。
アルバムの収束に向かっていく曲順もよく練られたものだと感じ取られ、一つのパッケージとしての完成度も高い。
特にラストトラックは、ポップスのコンテキストを用いた賛美歌のようにも聞こえてくるあたり、この人が持っていたセンスと実力の極みに達しているかのようにも受け止めることが出来る。
総じて、再評価を強く求めたいポップスのアルバムではないかと。