音波の薄皮 -picked-

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シベリウス:交響曲第5番 / パーヴォ・ヤルヴィ, パリ管弦楽団 (2018)

シベリウスを聴くことは、様々な思いを自分の中に巡らせることでもあり。

久しぶりに聴いた感のあるパーヴォ・ヤルヴィのシベリウス。5番で。

改めて聴き直してみると、ここにあるのは実在感のあるシベリウスであるとの思いを抱いた。それは人間の息吹が確かに存在していることを意味する。

自然文化を観察描画する人間でもあり、またそれと一体となった人間を表しているようでもあり。

美なる自然に人間が取り込まれると、その人間もまた美しいものになるのだろうかなどと、思い遊び至ることもしばし。

または砂楼。音の砂楼が風に吹きさらされ、その形を失っていく様。確かにそこにあったはずが、残るは風紋のみ。

などと。

最初に述べたことの繰り返しになるが、思いを巡らせくゆらせる余白を持つ音楽が、自分にとってのシベリウスであるなと再認識させられた次第。