音波の薄皮 -picked-

『音波の薄皮』ピックアップ since1998 (不定期更新)

E-SIDE / YOASOBI (2021)

「え?今、何て言ったの?」的な歌詞のギミックにまずは耳が向かう。

日本語詞の楽曲に英詞をつけた作品はこれまで様々なミュージシャンによって数多存在するけれども、単純に英詞を乗せるだけではなく、どこか原曲の日本語のフックを思い起こさせるような仕掛けが随所に施されているところがいかにも若手の才能らしく、聴いていて好感が持てた。計算と遊び心のバランス感覚が見事。

そして次に気付かされたのは、そのメロディとトラックの強靱さ。

日本詞で世界が完全に出来上がっているものだとばかり思っていたが、メロディに英詞を当てはめながらも、原曲のイメージは全く崩れることがない。

むしろ英詞を用いることによって、自らが作り出してきたメロディとトラックが「本物」であることを証明するために作られたツールないし主張そのものであるかのように受け止めることが出来た次第。

油断していたけれども、YOASOBIのこのトータルとしてのサウンドメイキングは正真正銘本物であると認めざるを得ませんな。