音波の薄皮 -picked-

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ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 / クリスチャン・ツィメルマン, サイモン・ラトル, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (2005)

これまでもブラームスのピアノ協奏曲は何度か聴いていたはずなのに、ほとんど印象に残っていなかった。

たまたまタワレコオンラインで目に止まったツィメルマンとラトル、そしてベルリン・フィルでの演奏を購入し、聴いてみたところ、あら驚いた。

ツィメルマンのピアノに対しては相当な信頼を置いて普段から聴いているのだけれども、その期待と信頼を裏切ることが全くない美しさと力強さ。

この曲が持つ、やや冗長に感じられる要素が、全て取り払われたかのように、ピアノがグイグイと耳を引き寄せる。

そしてラトル率いるベルリン・フィル。これまたやや硬質に、かつ格調高い雰囲気を醸し出して、曲に華を添える。

ベルリン・フィルにおけるラトルの存在は、自分がクラシックにハマればハマるほど疑問に持つことが多くなっていたのだけれども、ここではノーギミックで、実にじっくりと聴かせる演奏を構築してくれている。

総じてブラームスのピアノ協奏曲も実は聴ける楽曲であると。今までの印象は一体何だったのだろうかと疑問に思えるほど。

やはり音楽は時間と巡り逢わせとの兼ね合いで、いつ自分の耳にすんなりと入ってくるかは分からないと実感に至った次第。